CROSSROADS Language Studio’s Newsletter April, 2025 Gene editing

近年の地球を取り巻く気候変動は、多くの動物種の生存を深刻に脅かしている。2020年、オーストラリアで発生した大規模な山火事により、約30億頭の在来動物が死に、そのうちの約90%を爬虫類が占め、多くの動物種を絶滅の危機に追い込んでいる。
このような大災害が起こるたびに、生物の多様性のさらなる崩壊と、このような環境における重要種の絶滅が近づいている。
当然ながら、自然環境の保護、問題意識の向上、脆弱な生息地の保護を通じて、自然の遺伝子の編集防止のために多くのことが行われている。
ドローンなどの開発技術は、公害や違法な密猟、自然の生態系を侵食する人間の居住地など人間が引き起こした環境破壊の規模を監視し、重要なデータを収集するのに役立っている。
驚異的なスピードで進歩しているもうひとつの技術は、DNAクローニングと遺伝子編集である。AIと現在のテクノロジーの膨大な計算能力に後押しされ、科学者たちは絶滅した動物を生き返らせることに大きく近づいている。最近、1万年前に絶滅した北米大陸のトッププレデター(生態系の最上位にある生物)であるダイアウルフ3頭の繁殖に成功したというニュースがあった。厳密には、イヌの形態(白い毛皮と大きな頭蓋骨)を変える遺伝子を編集したハイイロオオカミだが、その系統で絶滅した種を繁殖させるため、同系統の既存の動物のDNAを使用して、動物の多様性の潜在的減少をある程度、確実に最小化することに大きく近づいたことで、遺伝子工学の成功とみなされている。
その一例が、17世紀半ばに絶滅したヨーロッパ大陸の放牧地の中枢種であった野牛の一種、オーロックスのケースである。科学者たちは、この牛の子孫に残存するDNAを特定することに成功し、現在、この牛の「戻し交配」を試みている。
現在の技術のおかげで、動物の起源を祖先のルーツまでたどることができるようになった。これにより、絶滅危惧種のクローン作りに成功する確率が大幅に向上した。
北米に生息するクロアタマフェレットという種は、野生に生息していたわずか7頭の個体の子孫から採取した細胞によりクローン作りに成功した例である。
特にこの例は、成功の可能性を高めることができる非常に重要な条件を際立たせている。そしてそれは、ゲノム編集に使用される細胞は、結果を保証できる健康で、無傷なものでなければならないということである。残念なことに、動物が死ぬと体内の細胞はかなり早く劣化し、DNAは断片化され、実験には使えなくなる。そのため、恐竜や過去の動物を生き返らせることはできない。この問題はまた、倫理、安全性そして復活した生物の平安という課題をもたらす。
第一に、これらの生物がいない間の自然環境は大きく変化しており、もはや彼らの生活要件を満たしていないことが多い。第二に、健全な個体群を維持するためには、非常に大きな遺伝的多様性の集積が必要になる。そのような大きな集積がない場合、遺伝的に近縁な種を利用し、その遺伝的特徴を改変して、望ましい系統種を作ることができたとしても、成功率は非常に低く、早死や新生児の腫瘍で損なわれてしまう。
他方、たとえ保護された種の旺盛な個体数を維持することに成功したとしても、脆弱な生息地を保護する努力から遠ざかってしまう可能性がある。つまり問題の根本よりも症状の対処に留まることになる。
成功の妨げになっているもうひとつの問題は、ある種には巧くいっても、他の種には巧くいかないということである。哺乳類のクローン作成は進展いるが、鳥類については少なくとも今のところ複製は不可能である。そして残念ながら、その理由はよく分かっていない。
科学は決して眠らない、だから最善の結果に期待しよう。
Article by Marek
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