CROSSROADS Language Studio’s Newsletter May, 2025 A Game for Gentleman

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 1993年にロンドンを訪れたとき、私の友人は、偶然ロンドンで最も高級な「ジェントルマンクラブ」のひとつに自分が居ることに気が付いた。
その特別なクラブには、ドラフトボードやバックギャモンセットなどを備えた「ゲームルーム」があった。その脇にはバーがあり、ロンドンや海外の主要紙がすべて用意されたメンバー用の新聞ラックが2 — 3置かれていた。私の友人は明らかに場違いであったが、メンバーの一人と約束があり、その人が他の用事を済ませる間、ゲームルームで待つよう私の友人に主張した。
 いつものように部屋にはほとんど誰もいなかったが、隅の方に一人っきりの会員がチェス盤を前にテーブルに座っていた。彼は片手に新聞を持ち、ボードと新聞の両方をかなり熱心に勉強しているように、私の友人には見え、その視線は一方から他方へと矢継ぎ早に移り変わっていた。私の友人は好奇心旺盛なタイプだったので、そっと一歩一歩この紳士の近づき、すぐ側に立ち、目、手、チェスの駒、新聞の慌ただしい動き全てを紳士の真上からじっと見ていた。紳士はようやく私の友人に気づくと、ちらりと顔を上げ、チェスに興味があるのかと丁寧に尋ねた。私の友人も同じように礼儀正しく思われたいと願い、「まあ、はい、そうとも言えますね。」と答えた。
その紳士は、私の友人がもっとよく新聞が見えるよう新聞を持ち上げ、「巨匠たちのゲーム」に割かれた小さなコーナーに触れ、「美しい冒頭、そう思わないか」と言った。
 さて、お察しの通り、私の友人はチェスのことなど全く知らないのだが、失礼にならないように「まあ、そうですね!それにとても巧くdrawn(描写)されてますね!」と答えた。
「それはないよ。 」と紳士は答えた。「わからないかい、ホワイトの勝ちだよ!?」愚かに見られたくない友人は「もちろん。」と答えた!「なんてバカなことを!ホワイトはとても才能のある人に違いない。」
「すみません。」と紳士は答えた。「それフィッシャーのことですよね?」「ホワイトを打ってたのはフィッシャーですよ。」
「なるほど」と友人は答えた。「フィッシャーはホワイトと対戦し、負けた。」
「いや、そうじゃないよ!」紳士はやや焦りを募らせながら反論した。「ほら 、」と新聞を指差しながら、「ブラックを打って負けたのはスパスキーだ よ。」
 友人は、フィッシャーがホワイトと対戦してホワイトが勝ったのなら、フィッシャーは負けたに違いない!そして、ブラックとスパスキーはどうやってこのゲームに参加したのか(チェスは1ゲームにつき最大2人までしかプレイできないことは友人でさえ知っている;タグチェスのようなものはあっただろうか・・・?)と指摘しようとしていたその矢先!! 友人の知人がその窮地を救うために戻ってきた。そして礼儀正しく、しかし照れくさそうに自己紹介をし、間一髪のところで私の友人を連れ去ってくれた。こうして、友人の唯一無二のチェス対局は幕を閉じた……!

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