CROSSROADS Language Studio’s Newsletter October, 2025 Acupuncture

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はり治療は、約2000年以上前、中国で始まった伝統医学の一つの形である。この療法は、人間の体には「気」と呼ばれるエネルギーが存在し、それが「経絡」と呼ばれる特別な通路を通って流れているという考えに基づいている。経絡には「気」の出入りや調整を可能にするポイントがある。通路が滞ると、痛みなどの不調として現れると考えられている。鍼灸師は非常に細い針をこれらポイントに刺すことで、体内のエネルギーのバランスを整え、気の流れを回復させ、痛みを和らげている。

現代では、科学者たちが医学的な観点から、はり治療の効能の解明に挑んでいる。いくつかの研究で、特定の部位に針を刺すと、皮膚の下にある神経が刺激されることが示されている。この神経への刺激で、痛みが軽減され、リラックス感が得られるエンドルフィンのような鎮痛作用のある化学物質が体内で分泌される可能性が示唆されている。

その長い歴史と人気にもかかわらず、はり治療は、今も西洋医学界では議論の的となっている。医療に関する助言を行うイギリスの国立医療技術評価機構(NICE)は、多くの症状に対して、はり治療を公式に推奨していない。しかし、治療を受けた多数の患者は、症状の改善を実感している。痛みの軽減、睡眠の質の向上、心の落ち着きなどが報告されている。こうした公式ガイドラインと患者の実体験との相違に、はり治療に対する意見の割れが表れている。

一部の医療従事者は、特定の症状に対し、はり治療は有効的だと考えている。たとえば、脳卒中後の首の痛み、緊張性頭痛、肩の機能障害などがある。これらの症状は治療が難しいこともあり、他の治療法の効果が、あまり見られない場合には、はり治療が緩和効果をもたらすこともある。ただし、はり治療は全ての人に適するわけでは無い。適合患者に対しベスト効果をもたらす。

NICEのデータベースによると、関節炎、骨粗しょう症、腰痛や首の痛みなど、筋肉や骨格に関わる症状に対して、はり治療の効果は少しからまったく無いとされている。一方で、例えば慢性的な首の痛みを抱える人などは、包括的な治療計画の一部として、はり治療の恩恵を受ける可能性がある。はり治療は、定期的運動と組み合わせることが重要である。身体を動かすことや理学療法は、体を強化し、長期的な改善に繋がる。

また、患者は、はり治療が即効性のある治療法ではないことを理解することが大切である。通常、効果が現れるのは3〜4回のセッションを経てからになる。この時点で改善が見られない場合、それ以上の治療を続けても効果は期待できない場合がある。実際、はり治療に過度に依存してしまうと、問題になることがある。中には、はりに頼りすぎて、他の重要な治療や生活習慣の改善を避けてしまう人もいる。

はり治療が好まれる理由のひとつに、リラックス効果がある。多くの患者が、施術後にストレスの軽減と気楽さを感じている。痛みが和らぎ、体の軽さと安心を感じている。自分の施術を待つ間に、自身の病気について話すだけでも、患者は心理的安心感を得ることが、よくある。科学的根拠に疑問を持つ人々の間でさえ、はり治療が人気を保ち続けている理由のひとつは、こうしたストレス緩和の効果にある。

はり治療は支持者と批判者、双方が存在する施術だが、その人気は着実に高まっている。西洋医学の分野では、特にその効果に対して懐疑的な見方が根強く、明確な効能を示す証拠があっても軽視されることがよくある。

多くの治療法と同様に、はり治療も健康に対するバランスの取れた取り組みの一つとして、賢明に用いることで、最も効果を発揮する。

 

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